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今さら聞けないクレジットカードの基礎知識【海外旅行保険編】

今さら聞けないクレジットカードの基礎知識【海外旅行保険編】

クレジットカードに付帯する海外旅行保険 とは

 クレジットカードには、一部のカードを除いて「海外旅行保険」が付帯される場合があります。海外旅行保険は、カード会社が発行するクレジットカードの優待として付帯される傷害保険の一種です。

 具体的な保険の内容や適用条件は各クレジットカードやクレジットのカードのランク、カード会社によって異なるため、重要な詳細を確認するためには、カードの契約条件や保険ポリシーをよく読むことが重要です。

海外旅行保険の「利用付帯」と「自動付帯」

 クレジットカードに付帯する海外旅行保険には「利用付帯」と「自動付帯」の2つの付帯条件があります。自動付帯は、対象のクレジットカードを所有しているだけで海外旅行保険が自動的に付帯されるもので、手続きなどは不要で対象のクレジットカードを所有している期間中は365日24時間いつでも常に海外旅行保険に加入した状態になっています。一方、利用付帯は、ツアー代金や公共交通機関の料金をクレジットカードで支払うことで海外旅行保険が適用されるもので、対象のクレジットカードで既定の利用が条件となるものです。

 自動付帯利用付帯を比べると、もちろん何の条件もなしに海外旅行保険が適用される自動付帯の方が便利で優れているクレジットカードと言えます。ただし、補償内容や期間については、各カード会社によって異なりますので、詳しくは各カード会社にお問い合わせください。

複数のクレジットカードを保有している場合の海外旅行保険金の合算について

 複数の海外旅行保険が付帯するクレジットカードを所有している場合、合算できる保険と合算できない保険があります。基本的には「傷害治療費用保険」と「疾病治療費用保険」は合算可能、傷害死亡保険金・後遺障害保険金や賠償責任保険、救援者費用保険金、航空機遅延費用保険などは合算不可となり、適用される複数の海外旅行保険の中で一番高額な保険金を上限として各旅行保険で按分されることとなります。

複数の海外旅行保険に加入している場合の計算例

  • クレジットカードA:傷害死亡保険金2,000万・疾病治療費用保険200万
  • クレジットカードB:傷害死亡保険金5,000万・疾病治療費用保険500万
  • クレジットカードC:傷害死亡保険金3,000万・疾病治療費用保険300万

上記のように3つのクレジットカードに加入しており、3つともに海外旅行保険の適用を受けられると仮定した場合の合算の考え方は下記のようになります。

傷害死亡保険金5,000万・疾病治療費用保険1,000万

複数の海外旅行保険に加入している場合の傷害死亡保険金の考え方

・傷害死亡保険金はクレジットカードA・B・Cのうち、クレジットカードBの傷害死亡保険金が5,000万ともっとも高額になるため、一事故に対しての最大金額は5,000万となります。実際に保険金が支払われる場合、5,000万の保険金のうち「2,500万はBから、1,500万はCから、1,000万はAから」といった具合に最大金額における各保険の保険金の割合が按分され支払われることになります。

複数の海外旅行保険に加入している場合の疾病治療費用保険の考え方

・疾病治療費用保険および傷害治療費用保険はクレジットカードA・B・Cとすべての海外旅行保険の適用を受けられ場合、それぞれのクレジットカードの海外旅行保険に定められている疾病治療費用保険および傷害治療費用保険を合算して最大保険金額とすることができます。今回の例の場合の疾病治療費用保険は「A:200万、B:500万、C:300万」となっていますので合計1,000万の疾病治療費用保険に加入していると考えることができます。

クレジットカードに付帯する海外旅行保険 の種類

 クレジットカードに付帯する海外旅行保険は基本的に傷害をカバーする場合が多く、補償の種類はおおまかに下記の補償になります。

傷害死亡保険金・後遺障害保険金

海外旅行傷害死亡保険金

 旅行傷害死亡保険は、海外旅行中に偶発的に発生した事故による傷害が原因で死亡に至った場合に対して支払われる補償です。クレジットカードに付帯する傷害死亡保険金額は500万円~2億円程度までと金額に大きな差がありますが上位ランクのクレジットカードほど高額な保険が付帯します。

海外旅行後遺障害保険金

 旅行後遺障害保険金は、海外旅行中に偶発的に発生した事故による傷害が原因で後遺障害を残す結果となった場合に対して支払われる補償です。旅行傷害死亡保険金の金額と同じ最大補償金額となる保険が大多数を占めます。

傷害治療費用保険

 旅行傷害治療費用保険は、海外旅行中に偶発的に発生した事故による傷害が原因で現地にて治療を受けた場合に保険金を受け取れる補償です。クレジットカードに付帯する海外旅行保険ではこの旅行傷害治療費用保険と後述の旅行疾病治療費用保険は、海外旅行保険が付帯するクレジットカードを複数所有し、付帯条件をクリアしていれば合算することで補償の金額の上乗せができるので重要な項目となります。

疾病治療費用保険

 旅行疾病治療費用保険は、海外旅行中に罹患した疾病が原因で現地にて治療を受けた場合に保険金を受け取れる補償です。クレジットカードに付帯する海外旅行保険では前述の旅行傷害治療費用保険とこの旅行疾病治療費用保険は、海外旅行保険が付帯するクレジットカードを複数所有し、付帯条件をクリアしていれば合算することで補償の金額の上乗せができるので重要な項目となります。

 世界中で猛威を振るった「covid-19」に運悪く海外旅行中に感染しり患してしまい現地で治療を受けたり入院したりした場合に旅行疾病治療費用保険を受け取れます。

賠償責任保険

 海外旅行の行程中に誤って他人にケガをさせたり、他人の物を壊して法律上の賠償責任を負った場合などを補償する保険です。傷害死亡保険金・後遺障害保険金と同額程度を保険金額としている海外旅行保険が多いです。

 免税店内で陳列されている商品を誤って壊してしまい賠償責任が生じた場合や、ホテルなどの宿泊施設の客室や客室内の動産(テレビ、ベッド等の備品類など)に損害を与えてしまい賠償責任が生じた場合など賠償責任保険で補償されます。

救援者費用保険金

 海外旅行中の遭難による捜索費や、病気やケガなどで入院したときに家族等が海外旅行先の現地に駆けつける際の渡航費などを補償する保険です。

  • 被保険者の捜索費用や救助費用
  • 救援者の自国から現地までの往復航空費や船舶渡航費用
  • 救援者の現地での宿泊費
  • 救援者の現地での通信費や救援に必要な身の回り品の購入費
  • 治療を受けている被保険者を現地から自国の病院などへ移送するための費用
  • 遺体処理費用
  • 現地から自国への遺体輸送費用

など多岐に渡る万が一の費用が補償されます。

航空機遅延費用保険

航空機出航遅延・航空機欠航・航空機搭乗不能費用保険

 航空機出発地において、搭乗予定の航空機が保険契約の定める時間以上の出発遅延・欠航・運休・搭乗予約受付業務の不備による搭乗不能、または搭乗した航空機の着陸地の変更により、6時間以内に代替となる航空機を利用できない場合に保険契約の定めるところによって、「宿泊施設の客室料」・「食事代」・「国際電話料等の通信費」・「旅行サービスの取消料や違約料」・「宿泊施設への移動に要するタクシー代や電車代等の交通費」などの補償を受けられる保険です。

航空機乗継遅延費用保険

 航空機出発地において乗り継ぎ予定の航空機が保険契約の定める時間以上の出発遅延・欠航・運休・搭乗予約受付業務の不備による搭乗不能、または搭乗した航空機の着陸地の変更により、保険契約の定める時間以内に代替となる航空機を利用できない場合に保険契約の定めるところによって、「宿泊施設の客室料」・「食事代」・「国際電話料等の通信費」・「旅行サービスの取消料や違約料」・「宿泊施設への移動に要するタクシー代や電車代等の交通費」などの補償を受けられる保険です。

受託手荷物遅延費用保険・受託手荷物紛失費用保険

 受託手荷物遅延費用は、航空機搭乗時に航空会社に預けた手荷物の到着が保険契約の定める時間を超えて遅れた場合、被保険者が目的地への到着後、96時間以内に旅行中に着用するために購入した衣類(下着、寝間着等、必要不可欠な衣類等)・旅行中に使用する生活必需品(洗面用具、かみそり、くし等)の費用および、旅行中にやむを得ず必要となった身の回り品(購入した衣類や生活必需品を持ち運ぶためのカバン等)の費用の補償を受けられる保険です。

クレジットカードに付帯する海外旅行保険 まとめ

 クレジットカードに付帯する海外旅行保険は、補償内容や期間については各カード会社によって異なる場合があります。クレジットカードに付帯する海外旅行保険だけで補償が十分かどうかは、個人のニーズや旅行の目的、期間、渡航する国などによって異なります。クレジットカードの海外旅行保険の補償内容を確認し、必要に応じて別途海外旅行保険に加入することも検討してみてください。

 クレジットカードを選ぶ際には海外旅行保険が付帯しているか、付帯している場合は利用付帯か自動付帯かも確認して選ぶことでより素晴らしい選択ができるかもしれません。

 最後まで投稿を読んでいただきありがとうございます。クレジットカード選択の一助になれば幸いです。

出典・引用・参考